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看護科第9期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 保護者の皆様、卒業という大きな節目の日を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。
どうぞ着席してください。
朝の冷え込みに校庭の木々はまだ静けさをまとっていますが、差し込む日差しの温もりには、確かな春の訪れが感じられます。このよき日に、大阪府議会議員・道端俊彦様、実習先病院の看護部長様、中学校の恩師の先生方はじめ、たくさんのご来賓の皆さまをお迎えし、卒業証書授与式を挙行できますことは大きな喜びです。
本日、全ての教育課程が修了します。皆さんが手にしている修了証書は、一人ひとりの努力の証です。この五年間、歩み続けてきた看護の道は、険しい道のりであったと思います。 15歳で看護師になることを決意し、希望に胸をふくらませて入学した一方で、専門科目の学びが始まるにつれ、迷いや不安が生じた人も少なくなかったことでしょう。体調を崩すことも許されず、張り詰めた気持ちで向き合い続けなければならなかった臨地実習。高度な授業と70に及ぶ試験を全てクリアしなければならい専攻科での学びに、心が折れそうになった瞬間もあったと思います。初志を貫き、困難を乗り越えてきた皆さんに、心から称賛の拍手を送ります。
国家試験の激励会で、大田先生は「皆さんは、本当によく勉強してききました。12月までは、びっくりするぐらいしてなかったけれど。エンジンがかかるのが遅くて心配しましたが、それからの努力は本当に素晴らしかった。だから、自分を信じてください」と話されました。
私が誇らしいと思うのは、”ただ頑張ってきた”のではなく、”教え合い支え合いながら頑張ってきた”ことです。2月15日の国家試験当日の朝。大きな円陣を組み「全員合格するぞ!」と掛け声を響かせて会場に入っていったのは、本校だけです。ここで培った“仲間を信頼し支え合う力”は、きっとこれから、チーム医療の現場で確かな力となることでしょう。
臨地実習では、多くの患者さんと出会い、学び、そして自らの看護を問い続けてきました。先日の「卒業研究発表会」は、その集大成ともいえる場でした。緘黙や統合失調症、窓から飛び降りようとした患者さんたちと関わり、拒否をされ、悩みながら、「信頼関係を築くとはどういうことか」を、一人ひとりが真剣に問うていました。
自分の価値観や基準を無意識のうちに当てはめようとしていると気づき、看護を見つめ直した人、“非言語的なかかわり”の大切さに気づいた人、“その人なりのストーリー”を尊重する意味がわかった人、“全人的理解”の重みを実感した人・・・。集団で学び合うことによって、認識が深まっていく様子を、目の当たりにし、胸を打たれました。これからも、誠実に学ぶ姿勢を大切にしていってください。
最後に、私自身の経験から一つだけお話をさせてください。
私の身近な人は、コロナ病棟で父親を亡くしました。コロナの辛さは、大切な人に会えないこと。やっと会えるのは、死を迎える間際という残酷な現実でした。感染後、祈るような気持ちで回復の連絡を待ちましたが、看護師さんから届いた言葉は「厳しい状況です」でした。無理を承知で病院に駆けつけ、面会をお願いすると、看護師さんが許可を取ってくださり、防護服を着て10分間会うことができました。持ち込みは難しいと分かっていましたが、どうしても渡したいものがあると、お願いをしました。娘の結婚祝いのお返しに買ったパジャマと、家族の写真です。
帰宅後、「アドレスを教えてください」と看護師さんから電話がありました。メールを開くと、パジャマに着替え、家族写真を胸に抱いた姿が写っていました。涙が止まりませんでした。看護師さんは、コロナ禍で、連日極限状態で勤務されていました。それでも、家族のために心を尽くしてくださいました。数日後、危篤の連絡が入り、駆けつけたときには息はありませんでした。身近な人は「そばに居れなくてごめんなさい。一人で逝かせてごめんなさい」と何度も謝りながら泣き崩れましたが、 父親は独りで逝ったのではありません。そこには、看護師さんがいました。家族にとって、看護師は大切な人を託せる唯一無二の存在です。皆さんが目指す職業は、崇高な使命を持つ仕事です。どうか高い倫理観と誇りを胸に、これからの道を歩んでいってください。
いよいよお別れの時が近づいてきました。気持ちが折れそうになったときや、何か困ったことがあれば、遠慮なく大阪暁光高校を訪ねてきてください。「今、仕事しんどいねん・・・」と愚痴をこぼしに来てください。この学校は、いつまでもあなたの母校です。みなさんの輝く未来に幸多からんことを祈ります。
保護者の皆様、5年間本当にありがとうございました。国家試験に向けて炊き出しまで行っていただいたその姿は、生徒たちの大きな励みとなりました。本校教育活動へのご理解とご協力に、心より感謝申し上げます。ご来賓の皆様、本日はご多用の中ご臨席賜り、誠にありがとうございました。まだまだ未熟な若者たちです。今後とも温かく見守り、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
みなさんと共に過ごした日々は、私たちにとってもかけがえのない時間でした。揺れながらも、看護師としての「幹」を太く豊かに育ててきた姿から、私たちは大きな希望をもらいました。
みなさん、ありがとう。そして、お元気で。
2026年3月10日
大阪暁光高等学校 校長 谷山 全
